「終活」という言葉が広まり、多くの人が将来の準備を意識するようになりました。
しかし、親に終活の話を切り出すのは簡単なことではありません。
「どう伝えたらいいのかわからない」「親を傷つけてしまわないか心配」と感じる人も多いのではないでしょうか。
本記事では親への終活の切り出し方や、終活を始める際の注意点について解説します。
親の終活を切り出す前に自分の終活を始めると効果的
親と終活について話しにくいと感じる場合、まずは自分自身の終活を始めてみるのがおすすめです。
MMD研究所が2022年に実施した「シニアの終活・資産管理に関する親子比較調査」(参考:MMD研究所 2022年)によると、終活について話し合わない親子は、親と子の両方が「終活にネガティブなイメージを抱いている」ことが分かりました。
終活に対して否定的な感情を抱いていると、親へのアプローチにも影響を及ぼします。
まずは、自分自身が終活を前向きな目的として理解することが重要です。
終活は「人生の終わりに向けた準備」だけではない
終活の目的は、単に死後の準備を整えることではありません。これまでの人生を振り返り、残りの人生をより豊かに過ごすためのきっかけにもなります。
例えば、これまでの努力や経験を再確認することで、自分の人生に満足感を得られるでしょう。
また、やりたかったことを明確にすることで、これからの人生の優先順位を決める手助けになります。
親に終活を切り出す際は、「人生の終わりの準備」ではなく、「残りの人生をより豊かに、有意義に生きるための準備」というメッセージを伝えることが大切です。
親に終活を勧める前に始めるメリット
優先すべき項目を把握できる
「エンディングノート」は、終活をスムーズに進めるための便利なツールです。
エンディングノートには、基本情報、財産・資産、医療・介護、葬儀の希望など、多岐にわたる情報を記入する必要があります。
しかし、高齢の親にとっては、エンディングノートの記入項目の多さに抵抗を感じることも。
先に自分で作成することで、親に優先的に記入してもらいたい項目が明確になり、少しずつ進めることができます。
また、子どもが作成したノートを参考にすることで、親の負担を軽減することも可能です。
親に終活を勧める際のポイントと注意点
1. 「人生会議」を活用する
終活に対してネガティブなイメージを持つ親には、「人生会議」を活用するのも一つの方法です。
厚生労働省が推進する「人生会議」とは、もしものときに備え、自分が望む医療やケアについて前もって考え、家族と共有する取り組みのことです。
終活と同様、「これからの人生をより安心して楽しむための準備」という考え方のもと進められるため、「終活」という言葉を避けたい場合に有効です。
2. エンディングノートの保管場所を共有する
エンディングノートの保管場所が分からないと、死後の手続きに手間取るだけでなく、親の意思を尊重できない可能性があります。
エンディングノートは安全な場所に保管し、家族と共有しておきましょう。
3. 実家の荷物整理を進める
終活を意識するなら、実家の荷物整理も早めに取り掛かることが重要です。
高齢の親にとって片付けは負担が大きく、加齢による体力低下や認知機能の衰えにより、整理が難しくなることがあります。
整理の際は、親の価値観を尊重し、無理に捨てさせないよう配慮しましょう。
捨てられない思い出の品は「思い出ボックス」を作って保管し、後で話し合う機会を持つことが大切です。
4. 第三者の話を活用する
子どもの話を素直に受け入れにくい親もいます。
その場合は、「友人の親が終活を始めてスムーズに準備できた」など、第三者の体験談を引き合いに出すと、親も聞き入れやすくなります。
終活の専門家や相談窓口を利用するのも効果的です。
例えば、全国に店舗を展開するイオンでは、終活や葬儀に関する相談ができるコールセンターを設置しています。(参考:イオンライフの終活)
全国どこでもサービスを受けられるため、地方に住んでいる方でも利用できます。
専門スタッフが個々の状況に合わせたアドバイスをしてくれるので、初めて終活を考える人も気軽に相談できますよ。
親子で終活準備を始めよう
終活は高齢者に限らず、誰にとっても有意義な活動です。自分の人生を振り返ることで気持ちの整理ができ、これからの生き方を考える良い機会になります。
親に終活を勧める際は、まず自分が前向きに捉えることが重要です。親の意思を尊重しつつ、感謝の気持ちを伝えながら進めることで、親子の絆を深めるチャンスにもなります。
焦らず丁寧に、親と一緒に終活を進めていきましょう。
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